「知」を集結し研究と人材育成を行い、福島第一原子力発電所の廃炉と原子力全体の安全へ貢献する。
東北大学「原子力安全・廃止措置研究センター(Center for Fundamental Research on Nuclear Safety and Decommissioning:CFReND)」は、2011年の福島第一原子力発電所(以下、1F)事故を受け、この長期かつ困難な廃炉事業に学術研究と人材育成の両面から貢献する組織として、2016年12月1日に渡邉 豊 前センター長のもと設立されました。設立以来、東北地方を代表する総合大学としての使命を果たし、地域・社会への貢献を推進するため、CFReNDは研究科や附置研究所の枠を超える横断型研究センターとして、次の三つのミッションに取り組んでいます。
1. 福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉の推進
2. 通常炉の廃止措置における安全性および合理性の向上
3. 廃炉の前提となる経年炉の寿命管理
これらの取り組みは、東北大学第4期中期計画(No.26)「科学的知見に基づく国際貢献と廃炉の推進を通じた地域への貢献」に正面から応えるものです。さらに、我が国のみならず主要先進国に共通する喫緊の課題である原子力安全の高度化、ならびに多数の原子力施設の廃止措置を安全に進めるための高度人材育成を担い、社会全体への貢献を目指しています。
CFReNDには、東北大学が連綿と培ってきた基盤研究を発展させた「廃止措置リスク管理技術研究部門」および「放射性廃棄物処理・処分技術研究部門」に加え、現場ニーズ起点の「1F廃炉イノベーション部門」(東京電力ホールディングス株式会社 福島第一廃炉推進カンパニーとの共同研究部門)、人材育成に主眼を置く「シビアエンジニアリングマネジメント部門」を設置しています。後者では、現場のニーズを研究課題へと適切にブレイクダウンし、本学の多様な研究ポテンシャルを結集して、廃炉現場の課題解決に資する研究開発を推進しています。さらに、幅広い教員構成と産業界との密接な連携を生かし、複合工学と社会科学の観点から次世代の原子力安全を担う実践的な高度人材の育成に注力しています。米国、フランス、イギリスなど、共通課題を有する諸国との国際連携も積極的に展開しています。
CFReNDは、このたび発足から10年目の節目を迎えました。これまでの基盤研究・技術開発の成果には、1F燃料デブリの分析・解釈に資する成果や、1F廃止措置の現場実装が見えつつある技術が含まれます。さらに、CFReNDが運営する工学研究科・情報科学研究科の「原子炉廃止措置工学プログラム」では、2015年の開設から2026年3月までに106名の修了生を輩出しました。彼らは、1F廃炉を東北大学で学び、深く考えた経験を持つ若者であり、その多くが1Fの現場や原子力関連分野で活躍しています。
東北大学は、1Fからおよそ90kmの地に所在する地元の総合大学です。CFReNDは地元である福島第一原子力発電所の廃止措置が安全かつ着実に前進するよう、大学として基盤研究と人材育成の両面から息長く貢献してまいります。今後とも、皆様の温かいご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2026年4月1日