New Tech基盤技術紹介
Visionビジョン
私たちが目指す廃止措置の姿
現在の福島第一原子力発電所は、原子力規制委員会が要求している安全上必要な措置を講じており、一定の安定状態で維持管理されています。しかしながら、事故により損傷を受けた建物の中に燃料デブリ及び使用済燃料が残されていること、プラントの状態が十分に把握されていない箇所があること、放射性物質を含む汚染水が発生していること、従来にないような放射性廃棄物が多量に発生していること等から、今も比較的高いリスクが存在する状態であると言えます。このリスクの存在に対して何ら対策を取らないでいると、施設の経年劣化等によって徐々にリスクが増加する可能性もあるため、このリスクをできるだけ早期に低減させ、燃料デブリ等を安全に管理できる状態へと移していく必要があると考えられます。
その後はプラントが安全に管理できる状態にあることから、安全上は時間的余裕が生じることになりますので、リスク管理をしながら、種々のリスク低減策を着実に実施し、ゆくゆくは管理しなくてもよい状態にまで持ってくることが、私たちが目指す廃止措置の完遂状態と言えるでしょう。
ここで、安全に管理できる状態や、管理しなくてもよい状態とはどのような状態かというと、それらはリスクに対する工学的な評価に基づき適切に判断すべきものであり、政府、規制当局、国の機関、大学等の研究機関、当事者である東京電力と技術を提供するメーカ等の関係機関全てが連携協力する廃止措置推進体制の中で、専門家の知識経験を十分に活用した上で、社会的合意の下に定められるべきことと考えています。

Research Theme研究テーマの例
■ 廃止措置リスク管理技術研究部門
- 五ホウ酸塩水溶液環境中における炭素鋼の
応力腐食割れ感受性に関する研究 - 渡邉 豊
■ 放射性廃棄物処理・処分技術研究部門
- 燃料デブリの取り出し、長期保管、処理・処分の基盤となる
放射化学研究 - 桐島 陽
■ シビアエンジニアリング部門
- 燃料デブリ研究とSEEM学構築を基軸とした研究人材育成
- 渡邉 豊
1F 廃炉イノベーション部門
- 模擬燃料デブリの性状評価
- 秋山 大輔
- 構造健全性評価手法の開発と損傷した鉄筋コンクリート
原子力発電所構造物に対する適用性検討 - 前田 匡樹
- コールドスプレー法を用いた鋼構造物補修技術の確立
- 小川 和洋
- コンクリート廃棄物から生じる副産微粉への二酸化炭素固定技術
およびそのスケールアップの検討 - 飯塚 淳
- 太陽電池型線量計の高感度化と低コスト・省電力線量分布計測
システムの実現 - 奥野 泰希